長崎県を襲った1991年の台風17号と19号の後に見られた花木の異常開花
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概要
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Powerful typhoons No. 17 and 19 struck the almost whole land in Nagasaki prefecture on September 14 and 27, respectively, 1991.The two typhoons had maximum winds spoeeds of 36 m/sec (No. 17) and 54.3 m/sec (No. 19). According to Nagasaki Marine observatory, these typhoons inflicted big damages upon houses, farm products, plant trees, etc. After the typhoon, a phenomenon of unseasonal blooming was observed on several floweriing plants at various parts in Nagasaki prefecture from the middle to the end of October in 1991. The unseasonal blooming was found in the perennial flowering plants planted at parks or gardens. Most of them were species of Rosaceae. Especially, cherry trees, Prunus yedoensis showed the phenomenon at almost all the parks. Geographical conditions of parks or gardens where the unseasonal blooming was observed were investigated to see the effects of winds due to the typhoon. The present observation suggests that the stronger the effect of winds was, the higher the rate of the unseasonal blooming.1.1991年9月14日と27日にそれぞれ台風17号と19号が長崎県下を襲い建物,農,水,林 産物などに尽大な被害をもたらし,長崎市および諌早市では街路樹,公園の樹木,庭の花木は丸裸になる程に葉がもぎとられる障害を受けた。 2.台風が去った同年の10月中旬~下旬にかけて,ソメイヨシノ(以下サクラという)など花木に季節はずれの異常開花が見られた。3.長崎市と諌早市では,調査した公園や神社などではサクラは殆んどの地点で開花していた。それは小高い丘で日当りが良くしかも風当りが強い程高かった。なかでも,桜の名所として名高い立山公園では,花をつけている木の割合,1本の木に着いている木の割合も高かった。8分咲き程度の木も見られた。4.風当り弱かったのであろう葉が着いている木では開花は殆んど見られなかった。5.果実は低地のサクラには見られず標高約200mの立山公園では約50%の木に着いていた。6.ソメイヨシノ以外では,ハクモクレン(Magnolia denudata,モクレン科),ボケ(Chaenomeles lagenaria),アンズ(Prunus Armeniaca),モモ(P.Persica),サトザクラ(P.donarium),セイヨウミザクラ(P. Avium)以上バラ科,ハナズホウ(Cercis chinensis,マメ科),ライラック(Syringa vulgaris,モクセイ科)の8種で異常開花を確認した。いずれも春に開花する花木である。ソメイヨシノを含めて9種で,これらのうち6種がバラ科の花木であった。7.以上の結果から,通常では休眠するはずの花器が台風の影響で休眠からさめて開花したと考えられる。
- 長崎大学教育学部の論文
- 1992-05-31
著者
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