遠隔高等教育の需要構造に関する考察 : 教育理論を背景とした需要概念モデル
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
遠隔高等教育に関する研究として、授業デザイン、教授─学習活動、学習効果、メディア技術に関する研究は多いが、社会システムや教育制度の枠組みのなかで、遠隔高等教育の存在意義や位置付け、伝統的な高等教育との関連性など、マクロ的な視点からの理論的考察は多くはない。日本では、通信制大学と通学制大学は戦後から明確に区分されてきたが、インターネットの発展・普及によってそれらの「ボーダーレス化」が起こり、今後も進行することが予想される。通信制大学と通学制の大学のボーダーレスが進行する中で、各々に対する学習者からの需要はどのように変化していくのであろうか。現代日本の遠隔高等教育の需要構造を捉えるためには、高等教育システム全体の中で、通信制大学と通学制大学の関連性に着目し、各々の意義や区分についての考察が必要である。そこで、本稿の目的は、「通信制」と「通学制」のボーダーレス化により変化している、学習者の教育需要構造に関する概念モデルを提示し、「通信制」と「通学制」の関係を教育市場のなかで捉える意義を提起することにある。論考の手順は、まず、議論の下地となる、遠隔教育の定義および考え方について、遠隔教育理論の先行研究から整理する。次に、現代日本における遠隔高等教育の現状とボーダーレス化の観点から行われた先行研究について整理する。そして、ボーダーレスの枠組みを精緻化し、日本における遠隔高等教育システムをより明確に捉える理論として確立したうえで、その理論を土台とした遠隔高等教育の需要構造に関する概念モデルを提示し、検討を行う。
- 2012-06-30
著者
関連論文
- 異なる背景を持つ受講者の遠隔教育に対する評価観点の検討 -遠隔サイエンス・コミュニケーションの実現に向けて-
- 「雪虫」に対する知見とイメージ--北海道大学と新潟大学の学生を対象としたアンケート調査の結果から
- インターネットを活用した「子ども科学教室」の試みと運営体制 -IMによるテレビ会議型授業-
- インターネット「子ども科学教室」の実践事例 -システム構成と運営体制の考察-
- 北海道東部厚岸湾周辺域における10〜18世紀の古環境
- 低コストA/Dコンバータで高温超伝導現象の教材化 : 1チップPIC-ADCとRS232Cでの計測制御
- 活用事例 優劣分岐を適用した小規模同期型e-learningシステムの経済性分析
- 小規模e-learningを対象とした経済性分析の検討(実践段階のeラーニング)
- e-learning 活用授業における運用と経済性
- 高専卒業者における遠隔教育の意義と経済性
- 情報技術を活用した遠隔教育の経済性に関する考察
- 教員免許状更新講習(予備講習)理科教育コースの事例と経済性分析
- 通信制大学における大学規模の規定要因
- 現代日本における遠隔高等教育の停滞と社会経済環境との関連性
- 通信制大学の潜在需要に関する実証分析 -高等教育の便益効果の観点から-
- 遠隔高等教育の需要構造に関する考察 : 教育理論を背景とした需要概念モデル