1930年代における野村芳兵衛の綴方教育--「文化交通」の構想とその挫折
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概要
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本稿では、1930年代における野村芳兵衛の綴方教育論を検討し、その展開過程に以下の三つの視座が含まれていることを明らかにした。一つ目は生活指導の綴方教育の視座である。その観点から構想された綴方教育では、子どもの綴方に認識や生活態度が見出され、その変革を目指した指導が行われていた。二つ目は対話としての綴方教育である。教師と子どもの日常的なコミュニケーションにおいて綴方教育が組織されていた点にその特徴があった。三つ目は媒体としての綴方教育である。この視座は、自然科学および社会科学の表現の導入によって綴方表現の領域を拡張し、教育全体を文化の伝達と創造の営みとして把握するものだった。本稿では、綴方を対話や媒体として捉える観点に現れている文化の伝達、創造、交通という主題の展開を、「文化交通」の概念の成立に即して記述した。
- 2010-03-00
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