歯科矯正学臨床基礎実習に対するルーブリックの導入試行
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概要
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北海道大学歯学部の専門教育期に行われる臨床基礎実習のうち,歯科矯正学教室が担当する歯科矯正学臨床基礎実習は舌側弧線装置作製実習と症例分析・診断学実習で構成されている.本実習の目標は「歯科矯正学講義で習得した基礎的,臨床的知識を基に症例分析法・矯正治療,技工技術を身に付けること」である.このようなものは一部パフォーマンス課題と呼ばれるものと考えられるが,従来型の評価法では適正な評価が行われない部分である.昨今,教育カリキェラムがプロセス基盤型からアウトカム基盤型へ移行するに伴い,ポートフォリオなどが徐々に取り入れられており,パフォーマンス系の課題にも対応可能な事が知られている.今回われわれは将来的なポートフォリオ評価の導入も視野に入れることも踏まえ,特にアウトカムに着目したルーブリックを実習にて試行し,有用性を評価することを目的とした.対象は平成21年度の3年次学生(平成22年度の4年次学生)46名とした.これらの学生に対して行われた舌側弧線装置作製実習と症例分析・診断学実習に際して,ルーブリックを用いてアウトカムに対する自己評価をさせた.得られたルーブリックから各項目の平均点を算出し比較した.結果より,両実習ともにプロフェッショナリズムは漸増する傾向がみられ,初回よりも最終回で有意に高かった.さらに,全体に舌側弧線装置作製実習の平均値よりも症例分析・診断学実習のそれが高い傾向を示した.この結果より,将来的なポートフォリオ評価を念頭におくこともふまえ,ルーブリックは歯科矯正学臨床基礎実習の実習に対する応用に有効なツールであることが示唆された.
- 2011-09-15
著者
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金子 知生
北海道大学歯学部歯科矯正学講座
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梶井 貴史
北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座歯科矯正学教室
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菅原 由紀
北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座歯科矯正学教室
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日下部 豊寿
北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座歯科矯正学教室
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佐藤 嘉晃
北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座
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中村 進治
北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座
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金 壮律
北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座歯科矯正学教室
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山本 隆昭
北海道大学病院歯科診療センター 咬合系歯科
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梶井 貴史
北海道大学 大学院 歯学研究科 口腔機能学 講座 歯科矯正学 分野
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山方 秀一
北大院・歯・矯正
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金 壮律
北海道大学大学院歯学研究科歯学臨床系専攻
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