矯正患者における上下顎第三大臼歯歯胚の存在に関する年代別調査

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第三大臼歯はposterior discrepancyの増大や、矯正治療後の歯列の安定性に強く影響を与える歯種として認識されている。そこで今回、我々は矯正患者における第三大臼歯歯胚の有無の年代別差異と前後的不正咬合との関連について検討した。北海道大学歯学部附属病院矯正科の患者のうち、初診時年齢が15歳未満で口蓋裂などの先天異常を伴わない283名を調査対象とし、1981年4月から1982年9月の間の初診患者147名(以下、80年代群)、および1993年2月から1994年11月の間の初診患者136名(以下、90年代群)に分けた。資料としてパノラマX線写真を用い、両年代群の第三大臼歯無欠損者数の比率、および部位別の存在率を調べた。さらに、前後的不正咬合別での第三大臼歯無欠損者数の比率を比較した。その結果、以下の見解を得た。1.第三大臼歯無欠損者数の比率では、80年代群(71.4%)よりも90年代群(74.3%)の方がやや高い値を示した。両年代群ともに第三大臼歯歯胚の存在率は上顎に比べて下顎で有意(p<0.01)に高かった。2.上顎前突では第三大臼歯無欠損者数の比率は、両年代群ともに前後的不正咬合を示さない者に比べて高く、反対咬合では低かった。上顎前突は反対咬合に比べて第三大臼歯無欠損者数の比率が有意(p<0.05)に高かった。以上より、第三大臼歯歯胚の存在率は経年的にわずかに増加している可能性があること、そしてこの傾向は反対咬合患者の来院頻度と関連していることが示唆された。
1999-12-25

矯正患者における上下顎第三大臼歯歯胚の存在に関する年代別調査

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