屋敷と家屋の安寧に--そのまじなひ世界
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概要
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人生夕昏れ時に屋敷を求め家宅を営む、人生の門出に当り屋敷を得家屋を造る、たとえそのいずれであろうとも、人生、屋敷を作り家宅を設けることは極めて大事であり、多くの望みと夢を託し、またその中で過す人生ー未来の安寧を願う心根の揺れ動く場であることはいまさら改めて言うまでもあるまい。こうした屋敷と家宅に彩られた心根の動きに息ずくものとして、まじない・呪儀といった世界が生きている。その世界は、平安を願い、安寧、富貴を望む者の必ず念じていたる世界であり、その実現に験者なり、導師を得て確証を得、永遠の幸甚を保証する世界であった。人生の大事、家族の慧夢、氏なり家の大事であっただけに、真剣に考えられ、終始ことあるごとにまじない、呪儀をもって、屋敷、家宅は包みこまれ、凶事は吉事に、善事は一層の善事に転ずるようとりはかられて来たのである。従って、屋敷、家宅をめぐるまじない・呪儀の世界は、人々の願望を充足させ、静安な日常生活を得させる、極めて重要な機能を果したのである。まじない・呪儀の在り方を通じて、その時代国その時代の人々の想いなり心根を窺い、「人」を問う、そうした大切な作業が果せるのではないか、こうした考えに基いてここに私なりの語りを記してみたいと思うのである。
- 奈良大学の論文
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