相互協調的自己観と内集団バイアス
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概要
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社会的アイデンティティ(Tajfel,1978)に依拠した自己認識がもたらす内集団バイアスの現象を、文化的自己観(北山,1998)の観点から検討することが本研究の目的である。相互協調的自己観が優勢な日本文化において、社会的アイデンティティが自己認識を強く規定する条件として、(1)状況要因としての他者からの評価懸念の有無(清家・高田,1997)、(2)個人要因としての相互独立性一相互協調性の程度(高田・大本・清家,1996)、の2つを取りあげ、(1)最小条件集団パラダイムを用いた分配課題と、(2)内集団に対する評価、の2つの指標を通じて内集団バイアスの程度を測定した。実験操作が有効であった被験者のみを対象とした場合、他者からの評価懸念が高まった状況では、自他関係をカテゴリー化して認知し、内集団を好意的に評価する一方、配分における内集団贔屓は抑制される傾向が見られた。評価懸念がない状況では、配分と内集団評価の双方で、従来の諸知見と同様な内集団バイアスが見られた。他方、相互独立性一相互協調性と内集団バイアスとの関連は、相互独立性の低い、あるいは相互協調性の高い者が評価懸念のない状況で内集団を好意的に評価したことを除いて、殆ど認められなかった。
- 奈良大学の論文
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