相互独立性・相互協調性の発達的変化 : 青年期を中心とした縦断的検討
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概要
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文化的自己観が内面化された結果と考えられる相互協調性と相互独立性の発達的変化について,児童後期から若年成人期を対象とした二つの縦断資料を通じて検討された。文化的自己観尺度(高田ほか,1996)への反応で,相互協調性については(1)児童後期から青年前期での低下,(2)青年前期から青年中・後期での上昇,(3)青年後期から若年成人期での低下,という横断資料(高田,1999)で認められた傾向が追認された。更に,相互協調性の水準はある発達的時期から次時期へと順次影響する一方,時期を越えた影響は見られないことが,構造方程式モデルによる分析により示された。それに対して,相互独立性については,横断資料とは異なり児童後期から青年後期,および青年後期から若年成人期にかけて変化は認められなかった。調査対象者のもつ固有の偏りがその背景にあるとともに,日本文化で優勢ではない相互独立性の意味内容が発達的に変化する可能性が示唆された。これらの結果は,尺度のみに依拠した研究の限界はあるものの,自己再構成の時期である青年期に日本文化で優勢な相互協調的自己観が主体的に内面化される,という仮説を裏づけるものと理解された。
- 2011-06-20
著者
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