社会的比較に於ける自己卑下傾向と 相互独立性-相互協調性との関連
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概要
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本研究の目的は、文化的自己観ー相互独立的自己観と相互協調的自己観ーの相違による社会的行動の文化間の変動と、文化的自己観が個人に内面化された程度ー相互独立性と相互協調性ーの差異がもたらす個人間変動が並行するか否かを検討することにある。日本人の自己卑下傾向と加奈陀人の自己高揚傾向を実験的に明らかにしたHeine,Takata&Lehman(2000)の被験者を対象にして、高田・大本・清家(1996)の尺度で測定された夫々の被験者の相互独立性・相互協調性と、自己卑下一高揚傾向との関係を検討した。日本人被験者は加奈陀人被験者よりも相互独立性は低い一方、相互協調性は高く、それがHeineε∫α1.(2000)の示した文化間変動をもたらしていることが示唆された。更に、日本人被験者の場合は、相互独立性が高いほど自己卑下傾向が弱く、文化間変動と文化内変動との一定の並行性が示唆された。一方、加奈陀人の場合は何等の関係も見られなかった。相互独立性・相互協調性が測定された加奈陀人被験者が一部に止まること、その実験条件間の等質性が確保されていなかったことがその原因として考えられ、尚今後の検討を要すると思われる。
- 奈良大学の論文
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