ウシ胚の体外発生に及ぼす培養液中の無機リン酸塩の影響
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概要
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継続後誌:近畿大学先端技術総合研究所紀要= Memoirs of Institute of Advanced Technology, Kinki Universityウシ1細胞期胚を少数でも効率的に胚盤胞期まで培養するため、培養液中の無機リン酸塩の有無が胚の発生に及ぼす影響を調べた。体外成熟・受精により作製したウシ1細胞期胚を、ミネラルオイル下の無機リン酸塩(KH_2PO_4)を添加あるいは無添加の培養液滴(50μlm-SOFM)に1個あるいは30個導入して、7日間 (168時間)培養した。培養後、胚の卵割率および胚盤胞への発生率を調べた。さらに、得られた胚盤胞の一部はその細胞数を計測した。その結果、培養液から無機リン酸塩を除くと、1培養液滴中の胚数に関わらず、26-39%と高い発生率を示した(P>0.05)が、リン酸塩存在下では、1培養液滴あたり1個の胚を培養した区では胚盤胞への発生率が低下すること (13%) が示された。一方、いずれの区でも発生した胚盤胞の細胞数に差は認められなかった (167-192細胞/胚盤胞)。以上より、ウシ胚を少数個培養するには培養液から無機リン酸塩を除去することが望ましいことが示唆された。 (英文) To establish an effective culture system for bovine early embryos, the effect of inorganic phosphate in a culture medium on development of bovine 1-cell embryos into the blastocyst stage. Single- or 30-embryos/50μl medium droplet (m-SOFM) with or without KH_2PO_4 under mineral oil were cultured for 7 days (168 hours). The cleavage and development to the blastocyst stage of the embryos were examined. The cell number of the blastocysts was also determined following staining with Hoechst 33342. The blastocyst rate of single embryos cultured in a droplet containing inorganic phosphate (13%) was lower than those of other groups (26-39%, P<0.05). However, the similar high rate of single embryos in a droplet without phosphate (26%) was obtained to that of 30 embryos in a droplet (39%, P>0.05). The cell number in blastocysts was the same among all groups (167-192 cell s/embryo, P>0.05). The present results imply that excluding inorganic phosphate from culture medium may improve the development of bovine early embryos even when culturing small number of embryos in a medium droplet.
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