マウス初期胚におけるIRESバイシストロン性発現ベクターの有効性の検討
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概要
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1種類のmRNAから2つのオープンリーディングフレームを翻訳することができる(バイシストロン性)内部リボソーム導入部位 (internal ribosomal entry site、IRES) を持つ発現ベクターを使うことによって、培養細胞へ遺伝子を導入して機能性細胞株を効率に得ることが可能になっている。本実験では、初期胚における遺伝子発現機構の解析に有用な手段となりうるIRESバイシストロン性発現ベクターが、初期胚においても機能するか否かを検討した。ニワトリ・-アクチンプロモーターを使いIRESを挟む形で目的遺伝子として改良型ホタル・ルシフェラーゼ (luc+) cDNAを、選択マーカーとして緑色蛍光タンパク質 (enhanced green fluorescent protein, EGFP) cDNAをつなげた融合発現ベクター (pβ-act/luc+/IRES/EGFP)を構築した。この発現ベクターを総計433個のマウス体外受精卵の前核に顕微注入して、生存した胚については体外培養を行った。媒精24、36、48、60、及び72時間後に経時的に胚を採取し、luc活性及びEGFP活性をシングルフォトンイメージングによって調べた。その結果、全区通してEGFPの発現が観察された胚のうちluc活性を示した胚は、94-100%であり、選択マーカーを発現するほぼ全ての初期胚において目的遺伝子が同時に発現することが認められた。以上より、初期胚における遺伝子発現ベクターを利用した実験系においてIRESバイシストロン性発現ベクターが有効であることが示唆された。 (英文) In experiments of cultured cells, bicistronic expression vectors containing the internal ribosome entry site (IRES) allow us to rapidly and efficiently selection of positive cells that express the introduced target protein. In this study, we investigate the application of these vectors to analysis gene expressions in the mouse preimplantation embryo development. We constructed a bicistronic construct (pb-act/luc+/IRES/EGFP) in which firefly luciferase gene is translated as a target gene and enhanced green fluorescent protein (EGFP) gene as a reporter gene is controlled under the control of IRES of encephalomyocarditis virus (ECMV). Following microinjection of pb-act/luc+/IRES/EGFP to total of 433 in vitro fertilized pronuclear eggs, survived eggs were cultured. At 24, 36, 48, 60, and 72 hr post insemination (hpi), expression of luciferase and EGFP were confirmed by using a single photon imaging system. We observed that 94-100% of EGFP-expressing embryos showed expression of luciferase gene. These indicated the bifunctional mRNAs were active throughout the development of preimplantation embryo. Thus, the IRES bicistronic mRNA construct might be a useful method of analyzing gene expression and its function in preimplantation mouse embryos.
- 近畿大学先端技術総合研究所の論文
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