新卒1年目の臨床現場での体験 : 職場適応の実際と他者の存在
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は,医療施設に就職した看護師の臨床現場で1年聞の体験の内容から,職場適応の実際を表し,新人看護職者が仕事を継続することに影響する要因を明らかにすることである.卒後1年を経過した8名の看護師に対して,臨床現場での困った事,その時の対処,助けとなったもの等に関する内容の面接調査を行い,質的帰納的方法で分析した.人とのかかわりや他者の存在に閥する6サブカテゴリーは『安寧・励ましである患者の存在』『看護の責任を果たし,尊重すべき患者の存在』『困難の元となる先輩看護師の存在』『育て導く先輩看護師の存在』『分かち合う同期看護師の存在』『安らぎを与えてくれる家族の存在』であった.職場適応の方法に関する4サブカテゴリーは『必死・耐える・やり過ごす対処』『人間関係や組織構造を読み取る対処』『納得・気付き・見習う対処』『離職選択へ向かう対処』であった.新人看護職者の仕事継続に影響する要因としては,看護の役割を自覚させる患者の存在,看護実践能力の未熟さを自覚させ,それを実務レベルで支援する先輩看護師の存在,情緒的安定を与える同僚看護師や家族の存在がある.また,新人看護師はできないと思いつつも必死に耐え,かつやり過ごす対処をとるが,それだけでなく,人間関係や組織の構造を的確に捉え,職場適応におけるあるべき姿を先輩看護師に見出し,自分自身を変える対処をとることにより離職選択をせず看護の職務継続の意識を持つようになると考える.
- 千葉大学看護学部,チバ ダイガク カンゴ ガクブの論文
著者
関連論文
- 高齢者訪問看護の質指標開発の検討 : 全国の訪問看護ステーションで働く看護師による自己評価
- 在宅精神障害者への園芸作業と看護相談をとりいれた効果的な社会復帰プログラムの検討
- 在宅精神障害者への園芸作業と看護相談をとりいれた社会復帰支援プログラムの試み
- 新人看護職者の臨床実践能力に対する評価 : 指導的立場の看護職者の視点から
- 利用者の声をもとに見出した難病医療相談会の課題
- 難病医療相談会における希少相談の相談ニーズとその支援に関する質的研究
- 東京都難病医療相談事業の7年間の活動内容の分析
- 東京都における神経系難病患者の在宅ケアの特性 : 3疾患別による分析
- 難病患者の在宅療養継続のための要件
- 平成15年度千葉大学公開講座「看護におけるマネジメント力」
- 先輩看護師と後輩看護師の「看護師の態度」の捉え方の比較
- 在宅療養者および家族と訪問看護師との関係構築に基づく看護実践の構造 : 在宅療養者の看護支援のあり方を検討するメタ研究
- 複数患者を受け持つ成人看護学実習3年間の総括評価
- 患者の思いに寄りそうプライマリ・ケア : その重要性
- 在宅医療処置における医師との連携のための在宅看護プロトコール
- 東京プライマリ・ケア研究会の最近の活動
- 神経系難病における地域支援体制確立への過程の分析 : T保健所管内の11年間の取り組み
- 新卒1年目の臨床現場での体験 : 職場適応の実際と他者の存在
- 訪問看護師の現任教育と専門性 管理者と学習者でつくる訪問看護師の個別学習プログラム--OJT計画書を作成・利用して (特集 訪問看護の専門性を考える--ステーション多機能化への視点)
- 訪問看護ステーション管理者の訪問看護師への学習支援に対する考え方と実際
- ベテランナースが捉えている教育的役割とその実践に関連している要因の分析
- 新採用者の人的受け入れ環境と影響要因の分析--第三次救急医療施設における受け入れ側の看護師の気持ちを探る