シダレザクラ樹冠内での光環境と比葉面積およびSPAD値の関係
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概要
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枝が下方に伸長する枝垂れ性樹木は, その特異的な樹形から樹冠内の光環境や枝上での個々の葉の形態, 生理的特性が一般的な樹木とは異なると考えられる. 本研究では, 同所的に植栽されたシダレザクラとソメイヨシノ1個体ずつを対象にして, それぞれの樹冠の上部と下部を構成する枝上での相対光強度（RLI）に対する個々の葉の比葉面積（SLA）およびクロロフィル濃度の指標となるSPAD値との関係性について検討した. ソメイヨシノの樹冠では上部, 下部の枝ともにRLIは枝の先端に向かって高くなった. 一方, シダレザクラの樹冠では上部の枝で基部から先端部にかけてRLIは低下したが, 樹冠下部の枝上でのRLIの変化は小さく, 常に樹冠上部の枝よりRLIは低かった. ソメイヨシノのSLAは樹冠上部, 下部ともに枝基部から先端にかけて小さくなった. しかし, シダレザクラのSLAは枝に沿った変化はほとんど無く, 樹冠下部の枝のほうが上部の枝よりも大きかった. ソメイヨシノのSPAD値は樹冠上部, 下部ともに枝の基部から中央部まで一定の値を示し, 中央部から先端にかけて徐々に低下した. 一方, シダレザクラのSPAD値は樹冠の上部, 下部ともに枝の基部から先端部にかけて緩やかに低下していた. RLIに対するSLAおよびSPAD値の関係性については, SLAは両個体ともにRLIが高くなるにつれて低くなっていた. ソメイヨシノのSPAD値はRLIに対して負の関係にあったが, シダレザクラのSPAD値はRLIの値にかかわらず30-45前後の値を示し, 両者に何らかの関係性は認められなかった. このように, シダレザクラとソメイヨシノの樹冠内の枝を基準とした光環境は明らかに異なっていたことから, 光獲得に対して最適となる枝の成長や分岐の様式が両個体では異なる可能性が示唆された. 両樹種ともSLAは光環境に対応して変化していたが, 葉のクロロフィル濃度は, ソメイヨシノでのみ光環境との対応が認められた. その要因としてシダレザクラの枝垂れ性の原因となる枝内での植物ホルモンの不均一性が考えられた.Weeping trees, which have peculiar tree form from branches expanding downward and drooping, appears to be different light environment inside the crown and leaf morphological and physiological traits from the ordinary trees. In this study, we compared relative light intensity (RLI), specific deaf area (SLA) and leaf SPAD value, which indicate chlorophyll content, along the first order branches placed upper and lower crown between Prunus pendula Maxim, and Prunus yedoensis Matsumura. On the first order branches of upper and lower part of P. yedoensis crown, RLI became higher from the base to the tip. In contrast, variations in RLI on branches of P. pendula crown were smaller than that of P. yedoensis crown, and RLI of lower part of crown was always lower than that of upper part of crown. The difference of light environment inside the crown between P. yedoensis and P. pendula seem to influence the strategy in branches growth and divergence. Although variation in SLA on first order branches were different between P. yedoensis and P. pendula crown, SLA became smaller as RLI became higher in both tree species. The SPAD values were lower in the tip of the first order branches than the base in both tree species. The SPAD values were correlated negatively with RLI in P. yedoensis, but not in P. pendula. The results would be influenced by the imbalance of plant hormone in the first order branches, which cause the weeping of P. pendula.
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