『一刀斎先生剣法書』訳注及びスポーツ教育的視点からの考察(3)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
承前 : 研究の目的・意図等については前稿である(1)(2)(『山形大学紀要(教育科学)』第13巻・第2, 3号所収。2003年2月及び2004年2月刊)の冒頭に記したので,ここに贅言を重ねることはしない。ただし,凡例のみは便宜上,今一度載せることとした。今回は第11章から最後の第16章までの5章を取り扱う。 凡例 : ◎訳注の底本には,今村嘉雄『日本武道大系』第二巻・剣術(2)(同朋舎,1982)に収録された,京都鈴鹿家所蔵本『一刀斎先生剣法書』を用いた。但し,句読点は適宜に改めた箇所がある。また,参考資料として杉浦正森『唯心一刀流太刀之巻』を用いたが,これも『日本武道大系』第二巻所収のテキストに拠る。ちなみに『一刀斎先生剣法書』は寛文四年(1664)に,『唯心一刀流太刀之巻』は天明三年(1783)に稿成ったものである。 ◎本書は16章から成るが,これを適宜に段落に分かち,そこに語注,現代語訳,そして必要に応じて補説を加えた。 ◎語注は長尾が担当し,補説は竹田が担当した。現代語訳は両者で検討,吟味した上,ここに掲出した。なお,抄訳ではあるが,本書の現代語訳を試みたものに,吉田豊『武道秘伝書』(徳間書店,1968)があり,適宜に参照した。This report is the modern translation of ”Ittousai sensei kenpousyo (「一刀斎先生剣法書」)”from chapter11to16, which is regarded as the precedent form of modern Kendo instructions. The authors tried to give the realistic meanings and contents to the terms and technics in the document. 1. The important point of the game depends on ”Ma(「間」)”. This term contains two meanings -to keep the distance against the opponent and to get a favorable timing. But too much concern with these sometimes makes you lose your game. 2. The technic of ”Ohmu no kurai (「鸚鵡の位」)” has two aspects -for instance ”Men(「面」)” to ”Men”, ”Kote(「小手」)” to ”Kote”, which aims at baffling the opponent and ”Nuki Dou(「抜き胴」)”, ”Kote Nuki Men(「小手抜き面」)”, which plays a trick on the opponent. 3. ”Itsushin fufen no kurai(「一心不変の位」) -which means the condition of one's whole heartedness” will be attained by one's favorable sword technic and mastering a certain truth of reason. 4. One should not hold a prejudice of a length and shortness of a sword, neither of its measure. If one contains a sharp sword in the mind,one will get a victory with any sword.
- 2005-02-15
著者
関連論文
- 『一刀斎先生剣法書』訳注及びスポーツ教育的視点からの考察(3)
- 『一刀斎先生剣法書』訳注及びスポーツ教育的視点からの考察 (2)
- 中国における古代武術の成立に関する研究 その1
- 米沢藩の弓術 : 伝承流派とその系譜
- 中国における古代武術の成立に関する研究 その2
- 剣道指導書における面打撃運動の技術表記に関する研究 : 運動の局面構造の視点から
- 剣道指導書における面打撃運動の技術表記に関する研究--運動の局面構造の視点から
- 昭和期の剣道指導書にみられる面の技術表記に関する研究 : 運動の局面構造の視点から
- 明治・大正期の剣道指導書にみられる面の技術表記に関する研究 : 運動の局面構造の視点から
- 宮城県中学校・高等学校の教科体育における武道の実態
- 戦後の学校における剣道の学習内容について
- オーストラリアのモディファイドスポーツについての研究
- 『一刀斎先生剣法書』訳注及びスポーツ教育的視点からの考察 (1)
- 剣道における「先」の意味の検討 : 近代における剣道指導書を中心に
- 武道における精神性の捉え方についての研究- 運動実践との関わりを中心に -
- 面打ち運動の構造に関する一考察
- 小学生の「面うち」運動に関する一考察
- 明治時代の或る文人にとっての中国:明治十一年、吉嗣拝山の清国渡
- 「これからの国語教育を考える」 : 高校教育現場の諸問題について(シンポジウム, 平成十四年度国文学会冬季大会発表要旨)
- 山形県漢学者総覧稿
- 羽扇綸巾の人、諸葛亮(平成十五年度国文学会夏季大会発表要旨)