内科的精査にて診断がつかず男性更年期外来を受診したACTH単独欠損症の1例

概要

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54歳男。患者は著明な食欲低下(2ヵ月で7kgの体重減少), 倦怠感, 低血圧を主訴とした。内科的精査では診断がつかず, 低血圧に対して昇圧剤を処方されたが改善しなかった。心療内科を受診し, 鬱病の診断で抗鬱剤を投与されたが症状は改善しなかった。そこで, 男性更年期外来を受診したところ, Late-onset hypogonadism様症候群検査のため測定したtestosterone値および症状から副腎不全が疑われ, adrenocorticotrophic hormone(ACTH), cortisolを測定した結果, ともに感度以下の低値であった。一方, 一般血液生化学検査ではNa低値や低蛋白, 貧血傾向を認めるも, 他の下垂体前葉ホルモン, MRIでは異常を認めず, これらのことから本症例はACHT単独欠損症と診断された。治療としてHydrocortisoneの補充を開始し, 著明な改善が認められた。目下は6ヵ月経過でhydrocortisone 10mg/日の補充を継続しているが, 治療前に認められた症状は改善し, 副作用は認められていない。
泌尿器科紀要刊行会の論文