治療反応性の異なる前立腺小細胞癌の2例

概要

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症例1:76歳男。主訴は排尿困難で、PSA高値、画像検査で前立腺の腫瘍、腸骨リンパ節・鼠径リンパ節腫大、両肺野の多発性腫瘤を認めた。経会陰的前立腺針生検を施行し、小型でN/C比が高く、濃染した核を有する腫瘍細胞を認めた。免疫組織染色でNSE陽性であった。以上より前立腺小細胞癌と診断し、LH-RH analog、bicalutamideによるMAB療法を開始した。治療開始1ヵ月後にPSAは低値となり、3ヵ月後の胸部CTでは多発性肺転移は消失していたが、その後再燃を来たし、9ヵ月後に肺転移巣の再発を認め、徐々に全身状態が悪化し12ヵ月後に死亡した。症例2:79歳男。主訴は排尿困難で、PSAおよびNSE高値、画像検査で前立腺の腫瘍、腸骨リンパ節腫大を認めた。経尿道的前立腺切除を施行し、病理組織学的所見より前立腺小細胞癌と診断した。LH-RH analog、bicalutamideによるMAB療法を開始したところ、PSAは低下したが、NSEは上昇し続けた。治療開始1ヵ月後より下血、会陰部痛が出現し、徐々に全身状態悪化し5ヵ月後に死亡した。
泌尿器科紀要刊行会の論文