林況変化に伴う短期流出特性の追跡 : 東京大学愛知演習林穴の宮流域を対象として
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概要
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本研究では,森林の林相変化による流出特性の違いを,Is:可能最大貯留指標,If:最大初期損失指標,Sff:山腹斜面粗度係数の3つの指標によって示し,これによって,その時系列変化を追跡することができることを示した。解析対象は,東京大学愛知演習林内の穴の宮流域である。流出解析手法は直接流出に対しては等価粗度法を用い,有効雨量の分離に際してはSCS法を採用した。その結果Is,Sffに関しては共に,林相が良好になるに従い,その値が増加していることが確認された。特にSffは,林相がある程度安定期にはいると,その値は一定値に近づく傾向があり,林相がかなり良好な場合0.3~0.4の値を示した。また本方法の利点として,採用されたパラメータが物理的意味をもっていること,さらにパラメータ数が少なくても十分な適合度を得られることが挙げられる。In this research, the trend of runoff characteristics with the change of forest physiognomy is shown by three indexes: index of potential maximum retention (Is), index of maximum initial abstraction (If), and coefficient for slope roughness (Sff). The data analyzed was obtained from Ananomiya experimental basin of the Tokyo University Forest in Aichi. Kinematic wave method was adopted for direct runoff and modified SCS method for baseflow separation. Consequently, Is and Sff are recognized to increase with the improvement of forest physiognomy. The value of Sff approaches 0.3~0.4 when the forest reaches a stabilized period to some extent. The advantage of this model is that the parameters have physical background and good fitness is obtained in calibration with several parameters.
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forests,東京大学農学部林学科,Department of Forestry, Faculty of Agriculture, The University of Tokyoの論文
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