景観情報処理システムの開発と応用に関する研究
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概要
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本研究は,景観計画をより論理的かつ科学的に行うための効果的な情報処理支援手法の開発と応用を行ったものであり,以下の6章から構成されている。第I章では,本研究の背景と目的および方法について述べた。情報処理はあらゆる分野で応用が進み,景観計画においても例外ではない。また数値・テキスト処理を中心としてきた情報処理は,近年では画像もその対象とできるようになり,画像情報の処理・生成が可能となっている。一方景観は視覚的なものであるため,景観計画においては対象景観を画像で扱うことが基本である。従って景観計画を支援する情報処理に画像情報を扱う技術を活用すれば,より効果的な計画情報処理システムの構築ができると考えた。まず景観計画における情報処理応用の系譜を通覧した。1970年代にワイヤーフレームのコンピュータグラフィックス(以下「CG」と記す)の応用がなされている。また数値情報処理を背景とした計量心理学的手法を応用して多くの景観評価研究がなされ,この中にはカラー写真画像で現地景観を代替した研究も含まれている。さらに評価対象景観に対して厳密な実験的統制を行うため,ワイヤーフレームのCGやモンタージュ写真,ビデオ合成画像が作成されるようになり,景観評価実験の論理性が高まり,同時に景観予測手法の重要性が認識された。1980年代には,デジタル画像処理やカラービデオシステムによる景観予測手法が開発され,実写写真と同程度の景観予測カラー画像が作成できるようになり,1990年代にかけてはフルカラーCGを応用した手法も開発された。これらは景観を画像として捉え解析・評価を行い,その結果を計画に応用する一連の研究である。一方では地域の景観資源を数値で捉えて処理する一連の情報処理応用研究がある。1970年代にはメッシュアナリシスの応用研究が始められた。1980年代には情報処理機器の性能向上により,より広域で詳細なメッシュ情報を扱うことが可能となり,地域レベルの数値情報を用いた解析評価が実際の計画に応用された。1990年代にはメッシュ単位をさらに極小化してフルカラーCGと組合せ,写真画像に近い解析結果出力も可能となっている。In this research, a new landscape information processing system, which makes the landscape plannning more logical and more scientific, has been developed. Its application has also been tested. The present paper consists of six Chapters. In the Chapter I, the preceding works and their methods are examined, and the methodology and the purpose of this research are specified.
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