意思をくみ取って援助することに困難を感じる高齢者に対する看護師のとらえ方の構造 : 対人援助関係の構築に焦点をあてた質的研究のメタ統合による分析
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概要
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本研究の目的は,"看護援助を行う際にその意思をくみ取って援助することに困難を感じる高齢者"に対する看護師のとらえ方とその構造を明らかにし,そのような高齢者と対人援助関係を構築するための方法を検討することである。研究方法は,設定した選定基準を満たす既存の質的研究論文のメタ統合の手法を用いた。3つの質的研究論文の成果が統合された。その結果,看護師のとらえ方は《断片的な側面からのとらえ方》,《他者や環境との関係の中でのとらえ方》,《高齢者を主体としたとらえ方》,《個別性の理解に基づいたとらえ方》,《専門的なアセスメントに基づいたとらえ方》の5つのカテゴリーに統合された。さらに,カテゴリー間の関係を対人援助関係の構築の視点から分析した結果,看護師のとらえ方は,《断片的な側面からのとらえ方》から《高齢者を主体としたとらえ方》に向かうプロセスとして示された。また,《高齢者を主体としたとらえ方》は,《個別性の理解に基づいたとらえ方》,《専門的なアセスメントに基づいたとらえ方》,《他者や環境との関係の中でのとらえ方》を基盤としていることが示された。このプロセスを発展的に変化させることは,看護師が意思をくみ取ることに困難を感じる高齢者と対人援助関係を構築するための方法論として活用できる可能性が示唆された。The purpose of this study was to investigate the structure of nurses' perceptions of difficulties interacting with elderly individuals. The method of this research was a meta-synthesis of qualitative studies. The results of three qualitative research papers that filled the criteria were integrated. As a result of the analysis, the following five concepts were identified: "Understanding the elderly from a single perspective", "Understanding the elderly based on interactions with other people and the environment", "Understanding the elderly as autonomous individuals", "Understanding the elderly based on his/her unique individuality", and "Understanding the elderly based on specialist knowledge". In addition, the nurses' perceptions of "Understanding the elderly as autonomous individuals" were based on their perceptions of "Understanding the elderly based on specialist knowledge", "Understanding the elderly based on his/her unique individuality", and "Understanding the elderly based on interactions with other people and the environment". These five concepts were structuralized as a development process of nurses' perception ranging from "Understanding the elderly from a single perspective" to "Understanding the elderly as autonomous individuals". The present findings suggest that this development process of nurses' perception can be used by nurses in order to r
- 千葉看護学会の論文
- 2006-12-30
著者
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