トウゴウヤブカの分散実験
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概要
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トウゴウヤブカは韓国や中国大陸などでのマレイ糸状虫の主要伝搬蚊であり,またわが国でのバンクロフト糸状虫の二次的伝搬蚊でもある.幼虫は海岸の岩の水たまりに主として発生するので,幼虫の発生場所が人の住んでいる部落から離れている場合が少なくなく,従って,トウゴウヤブカの成虫がどれ位の距離を飛翔分散し得るかが重要な問題となる.そこで,長崎県宇久島において1970年7月に,4種類の色素でマークした雌成虫6,230個体と雄成虫7,540個体を海岸の2地点から放逐し,その後5日間にわたって,海岸と草地では人をおとりとした二重蚊帳を用い,また2つの部落では人家内と牛舎内で,蚊を採集した.その結果,放逐したトウゴウヤブカの中で, 70雌(1.12%)と9雄(0.12%)が回収された.放逐地点と採集地点の間の距離と各採集地点での回収個体数とから,雌成虫はかなり大きな飛翔能力を持ち,おそらく数kmは自由に飛びまわるであろうことがわかった.なお,雄は雌よりも飛翔能力は小さいようである.The dispersal experiment of the adults of Aedes togoi was carried out on Uku Island, Nagasaki Prefecture, South Japan in July, 1970, to know how long they can fly to feed on man from their breeding sites at the sea coast in relation to the transmission of malayan and bancroftian filariasis. In total, 6,230 females and 7,540 males differently marked with four dyes were released from 2 sites on the sea coast, and recovery catches were made for 5 days after release at the sea coast and the grassland by the human-bait trap and at two villages by the aspirator and the net. By these catches, 70 females (1.12%) and 9 males (0.12%) were recovered. Based on the number of recovered mosquitoes at each recovery site, it was concluded that females can fly a long distance, perhaps several km, and males have a lesser ability of flight.
- 長崎大学熱帯医学研究所,Institute of Tropical Medicine, Nagasaki Universityの論文
- 1975-02-28
著者
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