消波境界を持った有限要素法による波動伝播解析
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概要
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有限要素法は,弾性波動の伝播問題を解く際に有力な手法としてしばしば用いられている.しかし無限領域,或いは半無限領域の一部をモデル化する時に,人為的に設定する境界において波動が乱され,適当な境界処理を施さないと,解析結果が無意味なものになってしまう.この問題を解決すべく,Cundallらの提案した方法を,3次元弾性波動問題にまで応用し,その実用化を計った.Cundallの方法は,Neumann条件とDirichlet条件の適当な組み合わせにより,定量的評価が可能な反射波を生じさせ,それを打ち消し合う2つの解を求めるというものであるが,その方法は完全であり,解析領域の次元にかかおらず適用できることを示した.一方で,その方法の持つ欠点も明らかになったが,その影響は小さく,ほぼ満足のいく精度で計算結果が得られると考えられる.本論文では,波動方程式を時間領域で解くことを考え,有限モデルで無限領域と等価な解析が可能なことが示された,また,地盤-構造物系などを含む不規則構造の応答計算にも適用が可能であるが,その際には若干の変更を加えるだけでよく,人為境界に沿って進行する波動と,人為境界に入射する波動を識別して,後者を消波処理すればよい.応用例として,崖地形(自由表面の不規則性)とレンズ状軟弱層(地下構造の不規則性)の応答計算を示した.有限要素法は,モデル化する際の制約条件が少なく,地盤等の連続体の解析に非常に適している.本論文で開発したプログラムも,地震断層を含むマクロな波動伝播問題から,不規則地盤の応答計算にまで適用が可能であり,解析的に解くのが困難な諸問題を解明できると考えられる.しかし,数値解析時に時空領域を離散化することにより生じる波動の減衰性や分散性の問題や,有限要素法解析の前処理,後処理の問題など重要な課題が残されているが,一応の成果は成し得たと思われる.The dynamic Finite Element Method is frequently used in analyzing wave propagation problems. In the case of infinite media or infinite half space, the presence of artificial boundaries introduces wave reflections from boundaries. The problem can be overcome by constructing a model of sufficient size that the required solution is obtained before the reflections arrive. But this is not always available, because the model size is limited by a computer storage. Lysmer et al (1969) developed a model system of dashpots at boundaries and transmitting boundary method as non-reflecting boundary. Their methods have some approximation, for example, basement layer is rigid and so on. Authors tried to solve the problem applying the Smith-Cundall's method and extended the method to the three dimensional problem. The Smith-Cundall's method is to solve the problem by superposing two types of reflected waves from Dirichlet's and Neumann's boundaries. This method is theoretically complete. The authors made clear the weak point of the method, but the influence of the weak point on the computed results is small. Therefore, the results by this method are reliable. This method treats problems in time domain, so non-linear problems will be solved by this method in the near future.
- 東京大学地震研究所,Earthquake Research Institute, University of Tokyo,日本電信電話公社,地震研究所の論文
- 1984-10-20
著者
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