トルコ語における再帰代名詞の選好性(人間の言語処理と学習)
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概要
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トルコ語にはkendiとkendisiという二種類の再帰代名詞が存在する。これらの再帰代名詞とその先行詞の間の束縛関係に関して、先行研究で異なる主張が行われている。例えばSezer(1979-80)は、両方の再帰代名詞とも埋め込み節の主語または、主節の主語と束縛できると述べている。一方で多くの研究者は、kendiは殆どの場合埋め込み節の主語と束縛されるが、kendisiは埋め込み節と主節の両者の主語とも束縛できる、と述べている。しかし、これらの結論は限られた言語学的分析または、研究者の内省的直観によって導かれたものであり、実際にトルコ語母語話者による再帰代名詞の選好性を反映しているものではない。そこで、本研究ではトルコ語の再帰代名詞の束縛関係について検討を行い、従来の言語学的分析を裏付けるため、トルコ語母語話者64名を対象に真偽判断課題を行った。結果、トルコ語母語話者がkendiの先行詞としては埋め込み節と主節の主語を同程度選んだのに対して、kendisiの先行詞としては圧倒的に主節の主語を選んだ。これは、トルコ語の再帰代名詞の選好性が異なることと、kendiの方がkendisiよりも自由であることを示唆している(c.f. Goksel & Kerslake, 2005)。
- 一般社団法人電子情報通信学会の論文
- 2013-07-27
著者
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