トルコ語における機能動詞構造について
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概要
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自然言語では技術の発展、文明の進化、異文化交流が原因で名詞の数が増加し、動詞もそれと平行していくはずである。トルコ語は名詞や形容詞などから動詞を派生させる接辞が豊富にあるのに対して、新たに生まれた又は借用された名詞に対する動詞の生産は比較的少ないと思われる。しかし、外国語から名詞のみが借用されるわけではなく、かなりの数の動詞もトルコ語に借用されている。ただし、借用されているそれらの動詞は様々な原因でまず名詞の形でトルコ語にコピーされ、トルコ語の中で動名詞として表れる。アラビア語やペルシア語のような周囲の言語とフランス語や英語などのような文化・経済交流の深い国々から受け入れられた動名詞が動詞化される場合は、トルコ語の動詞化接辞が十分な役割を果たすことはできないと考えられる。もともと語源がトルコ語である名詞を動詞化する派生接辞は、借用された動名詞に付加できるがその数は制限されている。さらに、コピーされた動詞や名詞はコピー元の言語においても一つ以上の意味をもつため、借用された形のみからは動名詞に包含されている全ての意義は解釈されにくくなる。そのため、動名詞を再び動詞化する際に多くの場合、動詞への派生接辞ではなく実質的な意味が希薄で文法的役割が強いet-,yap-,ol-,kil-,eyle-のような機能動詞を頼りにする。文法的役割が強いこれらの機能動詞は一般的に軽動詞と呼ばれている。ある動詞に機能動詞としての用法があるかどうかは典型的な機能動詞である,et-,yap-,kil-,eyle-,ol-を除けばその動詞のみを見て判断しにくいと思われる。et-,yap-,kil-,eyle-,ol-の場合はこれらの機能動詞と結合している動名詞の数の多さと、動名詞が不在である場合に機能動詞のみで意味的に解釈不可能な状況が発生するという点で判断しやすいと思われる。したがって、現在にいたるまでこれらの軽動詞以外は機能動詞と呼ばれていない。本研究では、軽動詞も含め、現代トルコ語に存在している他の多数の機能動詞を分類するために様々な言語テストを行う。機能動詞は、例えば軽動詞のように多数の動名詞または名詞と結合できる動詞であったり、または一つの名詞としか結合できないものであったりするが、基本的に、構文の中で述語名詞抜きで語彙的な意味を持った動詞としての解釈ができない。そしてMuraki [1991]の「実質的な意味を名詞にあずけて、みずからはもっぱら文法的な機能をはたす動詞」という考えに基づき、トルコ語における機能動詞の表れ方を求め、下記に詳細を示した言語テストによる分析を行うことによって、機能動詞の分類を試みる。
- 2008-09-25