外的操作活動による求積公式の理解の促進 : 等周長変形を用いて
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概要
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基本的平面図形の求積公式を学習した後の学習者でも,図形の具体的な長さの数値が与えられていない問題状況になると,公式を使えず,底辺や高さの相対的な大小から面積の大小を推論することができない者が少なくない。本稿では,数値がなくとも底辺と高さの変化から面積変化を導出できることを理解させ,面積が直交する2方向に拡がる量であることを実感させるために,等周長変形を教材として用いた授業プランを立案し授業実践を行った。授業での主要なポイントは,(1)等周長変形を紙上で提示するのではなく,実際の手操作として行わせること,(2)具体物を用いて連続的な等周長変形に伴う面積変化を実感させることであった。授業の結果,等周長変形の操作活動を通して面積変化を捉えることの面白さに言及する感想が多くみられ,具体的数値がなくとも公式を用いて面積変化を推論することの面白さを実感させることができた。しかし同時に,具体物によって示された現象的な面積の理解にとどまった学習者もみられた。具体物の操作活動によって抽象的概念を捉えさせる際,授業者側のねらいと学習者側の認識との間にずれが生じてしまう可能性があることが課題として指摘された。
- 日本教授学習心理学会の論文
- 2011-12-18
著者
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