病院ベースの未分類疾患情報収集方法の検討
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概要
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未分類疾患における病院ベースの情報収集においては,診断確定症例と未診断症例を把握することから開始しなければならない.本研究では,極めて希少性が高く,疾患概念が確立していない未分類疾患に対し,旧国立病院ネットワークを利用し,想定される患者集団に対して網羅的かつ体系的に情報を収集し,効果的かつ効率的に診断確定に至る方法論を検討することを目的とした.その結果,未分類症例は,筋委縮性側策硬化症(ALS)のような比較的診断がつきやすい疾患(未分類率5%前後)と脊髄症小脳変性症(SCD)のような非典型症状が伴う,もしくは遺伝子検査未実施による未分類(未分類率10%前後)が存在するなど,神経難病の中においても疾患ごとに異なる可能性が示唆された.また,専門医の診断を受けてもなお未分類症例が実在することから,患者は未診断のまま医療機関を複数受診する可能性がある.特に長期間を経て症状が出揃って初めて診断が確定するような症例に対しては,患者や家族への説明には十分な配慮が必要であることが明らかになった.さらに,地域中核病院における未分類患者同定のためのパイロット調査では,初診患者における未分類率は,発病からの期間が短く確定診断可能な症状が出揃っていない状態(12%),診断には特殊な検査を有するため検査できていない(1%)等が挙げられ,今後は未分類患者情報収集システム,さらに診断確定に必要とされる特殊検査検索システムが必要と考えられた.
著者
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児玉 知子
国立療養所南九州病院 神経内科
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児玉 知子
国立保健医療科学院 人材育成部 国際保健人材室
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園田 至人
独立行政法人国立病院機構南九州病院神経内科
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児玉 知子
国立保健医療科学院人材育成部
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神谷 俊明
独立行政法人国立病院機構埼玉病院神経内科
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