夏季夜間の局地風系に及ぼす東京都心域のヒートアイランド現象の影響 : 高密度観測網の気圧データを用いた事例解析

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本研究では,東京周辺の観測で得られた気圧データを用いて,東京のヒートアイランド(UHI)現象が,夜間の気圧分布と局地風系に及ぼす影響を解析した.使用した気圧データは,東京周辺の気象官署のデータと,東京都内で気象観測を行ったMETROSのデータである.METROSの気圧データには,観測機器の固有の器差が含まれているが,観測機器は既に撤去されていたため,本研究では,静力学平衡を仮定して補正した気圧データを用いた.解析期間は,暑夏年であった2004年の7月〜8月である.本研究の結論は以下のようにまとめられる.(1)都心部でのUHIの発達に伴って,顕著な低圧部が形成されていく過程が示された.また,高温域と低圧部がほぼ一体となって存在し,時間の経過に伴って移動していく状況が示された.(2)深夜に局地風系の進行に伴う局地風前線が,内陸側から都心部に向かって進行することが示された.局地風前線は03時頃に都心部に到達し,一時的に東京湾の沿岸付近にまで進行するが,06時頃には後退を始め,東京湾上に進行することはなかった.(3)局地風前線が停滞する現象を気圧分布を用いて解析し,UHIの高温により都心部が東京湾上に比べて,最大で約0.5hPa低圧になっていることを示した.南側の高圧部から都心部に向かって南寄りの風が収束することと,東京湾上で南寄りの風が吹くことが,局地風前線が停滞する要因であると考えられる.本研究で見られた夜間の局地風前線の停滞には,先行研究で示された日中の海風前線の停滞と同様に,UHIの高温が影響を与えていると考えられる.
2013-07-31

夏季夜間の局地風系に及ぼす東京都心域のヒートアイランド現象の影響 : 高密度観測網の気圧データを用いた事例解析

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