地域資源管理からみた馬搬振興の展開過程と技術継承の条件 : 岩手県遠野地方を事例として
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概要
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国内では近年,農山漁村を中心に地域固有の文化や技術を地域資源として再評価し,その利活用を通じて地域振興を図る取り組みが広まっている。本稿では,岩手県遠野地方の馬搬振興の取り組みを対象として,地域資源管理に果たす行政機関の役割に着目しながら,馬搬技術の継承をめぐる現状と課題を明らかにした。遠野地方では,馬搬従事者のほか,岩手県庁,遠野市役所,地元の森林組合やNPO法人が協働して馬搬振興組織を立ち上げ,技術継承に向け活動を本格化させていた。県庁は振興組織の事務局を担い,財政および人的支援を通じて活動を軌道に乗せる役割を果たし,市役所は市有林馬搬事業を創設し,馬搬従事者の仕事を確保してきた。基盤固めを終えた県庁は現在,組織運営への関与を弱めて振興活動を地元に任せる姿勢をみせており,今後,持続可能な推進体制を地域主体で構築できるかどうかが,馬搬技術の継承を実現するに当たっての大きな課題となっていた。
- 2013-03-31
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