森林組合の再編動向と政策課題 : 『山形県森林組合統計』による実証分析
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概要
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森林組合の合併は、林野庁では林業振興において中核的役割を果たすための組織・経営基盤強化の重点策と位置付けており、都道府県単位で行政と連合会の主導で推進されている。本稿では、合併の推進論拠である「規模の経済性」を検証するために、山形県内の15組合を対象に、財務諸表(貸借対照表、損益計算書)データに基づいて経営分析を行った。分析の結果、森林組合の多くが事業収益の急減と利益率の低下に直面していることが明らかとなった。合併は必ずしも経営改善に結び付かず、事業の停滞や雇用創出力の減退など活動水準の低下を招いていた。「規模の経済性」が明らかではない以上、森林組合の役割と存在形態をめぐる多様性を認めて、合併によらない経営の維持、発展の方向性が政策提起される必要があると考えられた。
- 財団法人林業経済研究所の論文
- 2009-08-20
著者
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山本 征宏
山形大学大学院理工学研究科
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早尻 正宏
北海道大学大学院農学研究科:(現)山形大学大学院ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー
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早尻 正宏
北海道大学大学院農学研究科
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早尻 正宏
財団法人とっとり地域連携・総合研究センター
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