林業事業体における教育訓練の現状と課題 : 北海道の林業事業体を対象にしたアンケート調査結果を中心に
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概要
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1990年代以降における林業労働市場の構造変化は,これまで個別事業体の経営課題に過ぎなかった労働者養成を社会的な課題として認識させ,新たな政策的対応を要請することとなった。本稿では,北海道を事例地に,こうした時代状況における林業事業体の教育訓練をめぐる現状と課題を明らかにし,今後の林業労働対策の展開方向を考察した。第1にアンケート調査から,(1)各種研修の利用水準は事業体規模に依存すること,(2)下請け業者の教育訓練に対する発注事業体の無関心,(3)労働力確保・育成をめぐる共同化の動き,などが明らかとなった。第2に事例調査から,北海道有林の請負事業体の場合,労働者養成をめぐって共同化が進展していること,森林組合の場合,その多くは下請け業者に事業実行を依存しているが,下請け業者の教育訓練に関して具体的支援をほとんど行っていないことが確かめられた。林業労働対策にはいま,規模や事業実行上の地位によって教育機会に恵まれない事業体とその労働者を公的システムに取り込むことが求められている。
- 林業経済学会の論文
- 2008-03-01
著者
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