白神山地の世界遺産登録が周辺地域の木材産業に及ぼす影響に関する一考察 : 秋田・青森両県のブナの製材加工業の実態分析を中心にして
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概要
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白神山地が世界遺産に登録されたことによって,周辺の木材産業,とくに白神山地と係わりの深いブナの製材加工業が,どのような影響を受けているのかという問題について,次の方法で考察を試みた。1.戦前から戦後にかけてのブナの利用の変遷について概観した。2.現在のブナの利用の実態を,(1)ブナ資源の賦存状況,(2)国有林のブナ材の販売状況,(3)ブナの製材加工業経営の現状,の視点から分析した。考察の結果は,以下のとおりである。1.白神山地の世界遺産登録に象徴される森林環境保全運動の高揚のなかで,ブナの伐採凍結及び中止などによって,ブナ材の需給関係が逼迫している。2.原料入手基盤を狭められたブナ製材加工業界では,ここ数年,急速なブナ離れが進行しており,代替材として外国産広葉樹材を取り入れたり,従来の量産方式から付加価値生産方式-移行する工場もみられる。3.したがって,適正な伐採を維持しながら地元のブナ製材加工業を育成していくことは,白神山地周辺地域のような厳しい社会経済状況下で,ますます重要な課題になっている。
- 東北森林科学会の論文
- 1996-12-27
著者
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