素材生産業の展開類型とその再編過程 : 青森県上北地域を事例として(1996年秋季大会自由論題論文)
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概要
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上北地域は天然広葉樹生産地帯であったのが1980年代中頃を境に民有林のスギ生産地帯へと変化しつつある。本論文では,上北地域の林業構造と素材生産の担い手がスギ時代に向けてどのように再編されているか分析した。その結果,80年代中頃以前は,三菱製紙が掌握する多数の素材業者,国有林随契枠を持つ業者,森林組合の請負業者が基幹的に林業構造を担っていた事が分かった。80年代中頃以後,林業構造は引き続きこれら基幹的業者に担われながら,三菱製紙が輸入チップへと原料転換して素材業者とのつながりを弱め,多くの素材業者が森林組合の請負わせ事業に依存するようになり,民有林のスギ資源を基盤とした中規模業者が増加する,などの変化が見られた。この事例を通して「国産材時代」を担う素材生産の担い手の姿を展望するとともに,森林組合が請負わせという形で素材生産を外部化している点などで森林組合担い手論だけでは充分でないこと,大規模・専業業者だけでなく中小規模,零細規模業者,兼業業者の存在が見のがせないであろう事を明らかにした。
- 林業経済学会の論文
- 1997-03-01
著者
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