緑肥と堆肥の連用がジャーガルの各種性質に及ぼす影響
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概要
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ジャーガルの有機物連用試験圃場でセスバニアと牛ふん堆肥の連用がスイートコーン収量および土壌理化学性に及ぼす影響を10年間にわたって比較した.(1)スイートコーン収量は,化肥区に比べて化学肥料窒素を3割減肥しても緑肥区は11%,堆肥区は7%増収した.有機物由来の平均的な窒素投入量は緑肥区より堆肥区が多いが,土壌の可給態窒素は10年間を通して緑肥区が堆肥区よりやや高く維持されたためではないかと考えられた.(2)可給態窒素とバイオマス炭素・窒素には正の相関関係があり,緑肥区と堆肥区のバイオマス炭素・窒素は化肥区に比べてそれぞれ平均で約70%,60%高かった.土壌呼吸活性もバイオマスと同様な傾向を示し,ジャーガルにおいて緑肥連用は,牛ふん堆肥連用と同様に微生物バイオマス・活性の維持増進に有効であった.(3)土壌糸状菌相をPCR-DGGE法により解析した結果,施用有機物によって糸状菌相が異なっていることが認められた.(4)有機炭素・全窒素は,緑肥区および堆肥区では微増しており,両区とも同様に極限値に近い状態で維持されていると考えられた.(5)交換性塩基類は,全試験区で維持もしくは微増した.(6)有機物施用による可給態リン酸の増加は,堆肥区ではみられたが,緑肥区ではみられなかった.(7)土壌物理性については,試験区間にほとんど有意な差はみられなかった.緑肥や牛ふん堆肥の年間25Mg ha^<-1>の施用(現物重)ではジャーガルの物理性改善は困難であると考えられた.以上のことから,ジャーガルにおいて緑肥と堆肥の連用効果を比較した場合,可給態リン酸を除いては,緑肥(セスバニア)と堆肥(牛ふん堆肥)の効果はほぼ同等であり,緑肥を地力維持増進のために利用できると考えられた.
- 2012-06-05
著者
-
豊田 剛己
東京農工大
-
豊田 剛己
農工大base
-
豊田 剛己
東京農工大学大学院生物システム応用科学府
-
儀間 靖
沖縄県農業研究センター
-
宮丸 直子
沖縄県農業研究センター
-
宮丸 直子
沖縄農研セ
-
伊波 聡
沖縄農研セ
-
伊波 聡
沖縄県農業研究セ
-
伊波 聡
沖縄県農業研究センター
-
宮丸 直子
沖縄県農業研究センター土壌環境班:(現)東京農工大学大学院生物システム応用科学府:(現)沖縄県農業研究センター宮古島支所
-
亀谷 茂
(現)沖縄県農業研究センター土壌環境班
-
伊波 聡
沖縄県農業研究センター土壌環境班
-
儀間 靖
沖縄県農業研究センター土壌環境班:(現)沖縄県北部農林水産振興センター農業改良普及課
-
亀谷 茂
(現)沖縄県農業研究センター土壌環境班:沖縄県農業研究センター石垣支所
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