PCR-DGGE法を用いた土壌線虫群集構造解析法の開発
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概要
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PCR-DGGE(Polymerase Chain Reaction-Denaturing Gradient Gel Electrophoresis)法を用いた土壌線虫群集構造解析法の開発のため,土壌線虫群集構造をより反映する土壌からの線虫抽出法検討を目的とし,ベルマン法,二層遠心浮遊法で抽出された線虫数および群集構造の比較を行った.ベルマン法で抽出された線虫数は三浦土壌58±22頭,平塚土壌92±8頭,函館土壌664±379頭,亀岡土壌43±19頭であった.ベルマン法で抽出済みの各土壌から二層遠心浮遊法でさらに線虫を抽出したところ,三浦土壌41±9.2頭,平塚土壌25±1.9頭,函館土壌103±30頭,亀岡土壌15±6頭とベルマン法で抽出された線虫数の15〜71%に相当する線虫が新たに抽出され,ベルマン法単独と比べて抽出された線虫数がいずれの土壌においても対応のあるt検定において有意に増加した(p<0.01).一方,これらの線虫から抽出したDNAを鋳型にしたPCR-DGGEでは,供試する個体数が50〜300頭の間では,バンドパターンに大きな影響を与えないことがわかった.そこで,200頭の線虫を供試し,PCR-DGGE解析を行ったところ,ベルマン法単独で抽出された線虫に由来するバンド数に比べ,二層遠心浮遊法で抽出された線虫に由来するバンド数を加えると,三浦土壌で11本から15本,函館土壌で7本から9本,亀岡土壌で6本から17本と二層遠心浮遊法で特異的に検出されたバンドが存在したため,ベルマン法に比べ2法の併用によってバンド数が有意に増加することがわかった(p<0.05).いずれの土壌でも,ベルマン法で抽出した土壌線虫群集と二層遠心浮遊法で抽出した線虫数および群集構造は異なった.以上より,土壌線虫群集構造解析評価には,ベルマン法および二層遠心浮遊法の併用が有効であると結論された.
- 社団法人日本土壌肥料学会の論文
- 2006-04-05
著者
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豊田 剛己
東京農工大院BASE
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豊田 剛己
東京農工大
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佐藤 恵利華
東京農工大学大学院
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豊田 剛己
東京農工大農
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佐藤 恵利華
近畿中国四国農業研究センター
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佐藤 恵利華
東京農工大学base:(現)近畿中国四国農業研究センター
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