ケアハウス入居高齢者に対する足浴が歩行に与える影響の検討 : 転倒予防の観点から
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概要
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本研究の目的は,ケアハウス入居中の女性高齢者に対し,1週間に3回の足浴を実施し,足浴が歩行に与える影響を検討することである。研究方法は,1人の被験者に1週間の間に1日以上間隔をあけて3回の足浴を実施し,それぞれの足浴の前後で足底荷重最大値および歩幅を測定した。被験者はケアハウス入居者で,独歩可能な女性高齢者12 名であった。測定には,圧力分布測定システムBIG-MAT(ニッタ)を使用した。測定はBIG-MATを敷いた通路上を歩行してもらい,荷重値をフレーム間隔0.01秒で記録した。結果を1〜3回の足浴前後で比較したところ,足底荷重最大値では足指部のみ,1回目および2回目の足浴後に足底荷重最大値が増加する傾向がみられた(p<0.1)。歩幅については,1回目のみ足浴後に歩幅が増加する傾向がみられた(p<0.1)。また両者の関連を検討したところ,足指部の荷重最大値の1〜3回の足浴前後の変化率が大きくなるほど,同じく歩幅の変化量が増えるという中程度の相関が認められた(r=0.4263,p<0.01)。これらの結果から,足浴により足関節の柔軟性が向上したため,歩行時の足部の動きがスムーズになり足指部の荷重最大値が増加したと考えられる。これは足指部で地面を蹴りだす推進力が向上したことを示すと考えられ,その結果歩幅も増加傾向となったと推察される。これらのことから,足浴は高齢者の歩行を転倒予防を目指すケアとしても,活用できる可能性があると言える。また,足浴の効果には限界がある可能性が示されたことから,足浴を転倒予防策に取り入れる際には,他のケアと組み合わせる方法等を考慮する必要があると考えられる。
- 2010-07-31
著者
-
伊部 亜希
大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻
-
田丸 朋子
大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻
-
本多 容子
大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻
-
阿曽 洋子
大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻
-
阿曽 洋子
大阪大学 大学院医学系研究科保健学専攻
-
片山 恵
大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
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