転倒予防教室における足浴の運動能力向上効果の検討
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概要
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運動前の足浴が,運動能力を向上させる効果があるか否かを検討するため,豊中市保健センターが実施する特定高齢者対象の転倒予防教室において,足浴介入研究を行った。研究方法は,足浴を実施する「足浴群」と足浴を実施しない「対照群」を設置して,それぞれの教室前後の体力測定の結果を前後比較した。体力測定の項目は,長座位体前屈・開眼片足立ち・Timed up and go test(TUG)・10m歩行・最大一歩幅・握力の6項目であった。被験者は「足浴群」が15名で,「対照群」が10名であった。「足浴群」でのみ,毎回,運動を開始する前に10分間の足浴を実施した。なお足浴の直接の温熱効果を避けるため,体力測定を実施する開催日は,足浴を実施しなかった。結果は,「足浴群」のみが有意に改善していた項目が,長座位体前屈(p<0.01),開眼片足立ち(p<0.05),TUG(p<0,05)および握力(右手p<0.01,左手p<0.01)であった。両群とも有意に改善していた項目が最大一歩幅の右足(p<0.05)で,両群とも改善していなかった項目が,10m歩行と最大一歩幅の左足だった。これらのことから,「足浴群」の方が,運動能力が向上したと考えられる。すなわち足浴の温熱効果により,関節可動域の拡大や運動効果の増強につながった可能性が考えられる。つまり,転倒予防教室における運動前の足浴は,運動効果を向上させる可能性が示唆された。今後は,さらにデータ数を増やし結果の信頼性を高めるとともに,男女差についても検討していく必要がある。
- 2011-07-31
著者
-
阿曽 洋子
大阪大学大学院医学系研究科
-
伊部 亜希
大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻
-
田丸 朋子
大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻
-
本多 容子
大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻
-
阿曽 洋子
大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻
-
阿曽 洋子
大阪大学 大学院医学系研究科保健学専攻
-
片山 恵
大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
-
本多 容子
大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
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