関係操作の水準を高める介入により問題解決は促進されるか
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概要
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学習者が学ぶ知識は,必要な場面で適切に使用されることが重要であるが,そうでない場合も多くあるのが現状であろう。工藤(2003, 2005)は,知識を適切に利用できるか否かには「操作水準」の高さが関係することを指摘した。本研究は操作水準を高めるための介入を行い,課題解決を促進しようとするものである。標的問題は「面積○cm^2の長方形をコピー機でk倍に拡大すると面積は何cm^2になるか」という問題を用いた。この問題については図形をk倍に拡大するとその面積もk倍になると誤ってしまうことが指摘されている。介入は中学生を対象に3群を設定した。(1)関係操作に加えて作図を行う群,(2)関係操作を行う群,(3)数値操作を行う群であった。関係操作とは変数間の関係を考える操作,数値操作とは数値を代入して答えを求める操作である。介入前後の操作水準得点を比較したところ,(1)群と(2)群の操作水準が高まっていた。関係操作の練習を行うことが操作水準を高めたと言える。また,標的問題の正答数は,(1)群で正答者数が有意に増えていた。関係操作の練習に加えて,その内容を学習者が確認できるようにすることで課題解決が促進されることが示唆された。
- 日本教授学習心理学会の論文
- 2010-06-18
著者
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