昭和期にみるイソップ寓話「犬とその影」の変容
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概要
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イソップ寓話「犬とその影」について,昭和期の刊行物から変容の背景や書誌事項を分析してきた.結果,書名は時代の教育的背景を生かしたものが大半を占め,「ひらがなイソップ」系と「カタカナイソップ」系が目立つ.さらに全集本があふれ始めた時期と一致し,「世界童話全集」や「童話大系集」のシリーズ本の1 冊としてイソップ寓話が取り上げられた.また「童話」としての翻案の扱いとイソップの「寓話」を重視した翻訳とに大別できた.さらに,作品名は,「犬と影」系,「大慾は無慾」の訓戒系,「欲ばりな犬」「小川をわたる犬」の解説風が主なものであった. 犬と肉塊との関わりは「一片の肉を銜えて…」でその入手法の記載なしが94%を占め,残り6%(2 話)に関して「盗み」「肉塊を盗む行為」「盗みを否定する入手法」の描写であったことは注目に値する.肉塊ではなく「魚や魚の骨を銜えた犬」の話は皆無であった.
- 2012-12-30
著者
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