胸部外傷後の遅発性気腹症の1例

スポンサーリンク

概要

論文の詳細を見る
86歳男性。自転車で走行中に自動車と接触し受傷、救急搬送となった。頭部挫傷と左頚部から胸部にかけて広範な皮下気腫を認めたが、胸腹部に明らかな外傷痕は認めなかった。精査の結果、左気胸、多発肋骨骨折、左肩甲骨骨折、縦隔・皮下気腫、くも膜下出血の診断で入院となった。気胸に対して胸腔ドレーンを挿入し保存的治療を開始した。気胸、縦隔・皮下気腫が改善した為、受傷10日目に食事を開始し胸腔ドレーンをクランプしたが、その後腹部膨満が出現した。CTでは、縦隔・皮下気腫は更なる改善を認めたが、腹腔内遊離ガスの出現を認めた。腹腔穿刺を行い、大量のガスを回収したが異臭は認めなかった。腹膜刺激症状はなく、血液検査上も炎症反応の増悪を認めなかったため遅発性消化管穿孔ではないと判断し、経過観察とした。腹腔内遊離ガスの原因としては、胸腔ドレーンクランプを契機に胸腔内圧が上昇し、胸腔内のガスが腹腔内に進展したと考えられた。
2012-06-25

著者

関連論文

もっと見る

スポンサーリンク