髄液漏を防ぐために(手術合併症を防ぐために,II 手術訓練としての外科解剖実習-第23回微小脳神経外科解剖セミナーより-,微小脳神経外科解剖)

概要

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頭蓋底手術を行う場合,術後髄液漏予防・感染予防の知識および技術は必要不可欠である.髄液漏が臨床上重要な問題である最大の理由は,その経路の逆行性感染である.体外に髄液が漏れる髄液漏は当然防ぐべきであるが,皮下・軟部組織に髄液が貯留する偽性髄膜瘤も避けるべき状況である.髄液漏がなくとも,削開した乳突蜂巣など無菌状態でない部位を含む死腔に髄液貯留を生じると,感染のリスクは増すことになる.髄液漏のリスクは,硬膜レベルと硬膜外レベルに分けて考えられる.また,各approachによってもリスクは異なる.総じて重要なことは,硬膜の水封縫合,死腔の充填,external compression,lumbar drainageである.しかし,approachによっては十分に施行できない手法もあり,その場合は,その他の手法をより厳重に行うなどの工夫をしていく必要がある.頭蓋底手技は,徐々にstandard techniqueとなりつつある.展開が許されるものは,確実に閉められるものでなければならず,硬膜再建,頭蓋底再建,髄液漏および感染予防の知識と技術は,頭蓋底手技を行う場合は常に心がけなければならない.
2011-10-20