クラゲ卵における極体形成および精子付着・融合過程のビデオ撮影
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
クラゲを含む刺胞動物の卵では、第二極体形成後に、動物極に限定された精子の付着・融合が起こる。本研究では、タマクラゲの卵母細胞の極体形成、およびタマクラゲとエダアシクラゲの卵への精子付着・融合の過程を、顕微鏡に装着したビデオカメラを用いて連続的に記録し、解析を行った。その結果、タマクラゲの極体形成過程では、第一極体のほうが第二極体よりも大きいこと、第一極体と第二極体は互いに近傍な位置に形成されるものの、両者の形成場所は完全には一致しないこと、第一極体が分裂する場合としない場合があること、などが分かった。また、タマクラゲとエダアシクラゲの卵に媒精した後の過程については、精子の付着・融合が動物極の周辺(エダアシクラゲでは、特に雌性前核の周縁部)で起こること、最初に付着した精子が融合に至り、その後の精子は融合できないこと、融合の際に精子が横向きになること、精子の融合に伴って卵が変形すること、などが見出された。今回得られた映像は、クラゲの卵成熟や受精過程を研究する上での基礎データとしてだけでなく、教育現場で使用する教材としても利用価値があると考えている。
著者
-
出口 竜作
宮城教育大学教育学部理科教育講座
-
並河 洋
国立科学博物館動物研究部
-
金 洋太
宮城教育大学教育学研究科理科教育専修
-
荒川 美緒
宮城教育大学教育学研究科理科教育専修
-
小野寺 麻由
宮城教育大学教育学研究科理科教育専修
-
石森 彩希
宮城教育大学教育学部理科教育専攻
-
並河 洋
国立科学博物館
-
小野寺 麻由
宮城教育大学教育学研究科
関連論文
- カイヤドリヒラムシの生殖とライフサイクル
- 相模湾およびその周辺海域から2001〜2004年にドレッヂ調査で収集されたヒドロ虫類について(予報)
- 日本におけるハイクラゲ再発見と日本産ハイクラゲ類の概説
- フィリピンと日本で観察されたビゼンクラゲに乗って移動するクモヒトデOphiocnemis marmorata(西太平洋における島弧の自然史科学的総合研究 第1期:台湾およびフィリピン)
- エダアシクラゲの放卵・放精の光条件
- 瀬戸内海を中心とする地域の自然史科学的総合研究
- 瀬戸内海を中心とする地域の自然史科学的総合研究 : 実施の目的と平成10年度調査研究の成果
- ネマトステラの配偶子放出と受精の誘起方法の検討
- シャーレの中の小さなクラゲ : タマクラゲの採集・飼育の方法と生物教育への活用の可能性
- タマクラゲの放卵過程
- 7. 有頭触手をもつタマクラゲ(刺糸類,ヒドロ虫類)(日本動物分類学会第35回大会)
- 相模灘およびその沿岸域における動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明 : III.沿岸の生物および土壌
- 相模灘およびその沿岸域における動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明 : II.海洋生物(動物(節足動物〜脊索動物))
- 相模灘およびその沿岸域における動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明 : I.海洋生物(褐藻および動物(海綿動物〜環形動物))
- 小学校教員養成における理科実験の悉皆化と学生の履修意識 : 履修歴と受講意識に関するアンケート調査結果
- OR-26 伊豆諸島沖で採集された管棲フサカツギ類 : エノコロフサカツギ再訪(口頭発表,日本動物分類学会第40回大会講演抄録)
- 中国地方西部および九州地方北部を中心とする地域の自然史科学的総合研究
- 中国地方西部および九州地方北部を中心とする地域の自然史科学的総合研究 : 実施の目的と平成8年度調査研究の成果
- 分類学者ネットワークと臨海実習を連携した生物多様性に関する研究・教育の試み
- 動物の卵成熟および発生の開始機構の比較解析
- 笠貝の発生過程と授業での活用
- フランツ・ドフラインと相模湾の深海動物相
- 20 国立科学博物館の相模灘調査で発見されたフォリクリナ科の繊毛虫(日本動物分類学会第39会大会講演抄録)
- 大分県南部から得られたヒドロ虫類12種について
- 女川湾から得られた無鞘類に属するヒドロ虫類13類の刺胞について
- 釧路沖から得られたウミヒドラ科のヒドロ虫類4種について
- クラゲ卵における極体形成および精子付着・融合過程のビデオ撮影
- 日本産ヒドロ虫類 Stylactaria misakiensis (IWASA, 1934) の幼生と刺胞相
- プレゼンテーションソフトを用いた動画の簡易編集法
- 昭和天皇のご研究とヒドロ虫類(120年でわかった相模湾の豊かな海産動物相,2005年度日本動物分類学会シンポジウム)
- 1. Hydractiniidaeに属するヒドロ虫類の多形性について(日本動物分類学会第37会大会講演抄録)
- タマクラゲのGFP様物質 : 発現の時期・部位の調査と教材化に向けた取り組み
- 瀬戸内海を中心とする地域の自然史科学的総合研究 : 実施の目的と平成10年度調査研究の成果