サッケードと追跡眼球運動の視標選択のメカニズム(一般講演,機械学習によるバイオデータマインニング,一般)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日常の視覚環境において、興味を惹く対象物が視野の中で動いている場合には、その対象物を見るために2種類の眼球運動が起こる。一つは対象物に視線を向ける高速で一過性の眼球運動であり、サッケードと呼ばれる。この眼球運動は対象物の像を網膜中心窩に捉えるように働く。もう一つは、対象物の像を網膜中心窩に保持し続けるように働く、ゆっくりとした滑らかな眼球運動であり、追跡眼球運動と呼ばれる。これら二つの眼球運動は、通常一つの対象物に向かって起こるが、その協調動作を実現する神経機構はまだ良くわかっていない。本研究では、この二つの眼球運動の基盤となる視標選択が、同一の神経機構に支配されているか否かを調べるために、動く6つの刺激を用いた、視標選択の難易度が異なる二つの視標探索課題(ボトムアップ的手掛かりが利用できるか否か)を行っている時のヒトの眼球運動を調べた。その結果、追跡眼球運動系にはサッケードの実行とは無関係に働く視標選択の機構があること、サッケード系の視標選択と追跡眼球運動系の視標選択におけるボトムアップ的手掛かりの重要性が異なること、サッケード系と追跡眼球運動系で異なる視標を選択する可能性があることを示唆する所見を得た。これらの結果は、サッケードと追跡眼球運動の視標選択が完全に同一の神経機構に支配されているのではないことを示唆する。
- 2011-06-16
著者
-
三浦 健一郎
京都大学医学研究科
-
河野 憲二
京都大学医学研究科
-
河野 憲二
京都大学医学研究科認知行動脳科学
-
三浦 健一郎
京都大学医学研究科認知行動脳科学
-
小川 正
京都大学医学研究科認知行動脳科学分野
-
小川 正
京都大学医学研究科認知行動脳科学
-
河野 憲二
京都大学大学院医学研究科認知行動脳科学
-
坂戸 勇介
京都大学医学研究科認知行動脳科学
関連論文
- ヒトの生理的等輝度点は刺激の時空間周波数に依存しない
- 追従眼球運動の適応シミュレーション : 小脳皮質の計算モデルは視覚運動変換を行いうるか?
- 協調運動に関する脳研究の進歩 (特集 バランスと協調運動)
- 登上線維入力が小脳プルキンエ細胞の活動に与える影響(脳・ヒューマンモデリング1, 脳・ヒューマンモデリング, 一般)
- 頭頂葉における眼球運動制御の機能マップ (特集 頭頂葉の新しい機能地図)
- 注意が追跡眼球運動の初期過程に及ぼす影響
- 視機性刺激呈示時に計測したfMRI信号の独立成分分析(ICA)を用いた解析
- 両眼視差によって起こる輻輳運動とサルMST野の神経活動
- 追従眼球運動における小脳の役割 (特集 小脳)
- 先行する視覚条件により変化する追従眼球運動の解析
- 追跡眼球運動中の背景の動きによる眼球運動 : モデルの改良
- ヒトの追跡眼球運動が背景の動きによる眼球運動に及ぼす影響
- 追従眼球運動時の3つの脳内領域のニューロン活動の解析
- 注視時及び円滑追跡眼球運動に対する背景刺激の動きによる影響 : モデルを用いた考察
- 前庭動眼運動中の追従眼球運動
- 滑動性眼球運動に対する背景の動きの影響
- 垂直方向追従眼球運動の適応シミュレーション : 小脳皮質の計算モデルは運動学習を再現できるか?
- サル円滑追跡眼球運動中における背景の動きの影響
- 大脳皮質MT/MST野神経活動の時空間周波数依存性(脳活動の計測と解析,一般)
- 追従眼球運動の適応シミュレーション : 小脳皮質の計算モデルは視覚運動変換を行いうるか?
- 注視時及び円滑追跡眼球運動に対する背景刺激の動きによる影響 : モデルを用いた考察
- 追跡眼球運動開始時の眼の動きに影響を及ぼす外的要因と内的要因
- 円滑追跡眼球運動と追従眼球運動の相互作業
- 視覚探索におけるfeature map間の競合過程(脳活動の計測と解析,一般)
- サッケードと追跡眼球運動の視標選択のメカニズム (ニューロコンピューティング)
- サッケードと追跡眼球運動の視標選択のメカニズム(一般講演,機械学習によるバイオデータマインニング,一般)
- 前庭動眼反射の視覚的バックアップ機構
- ヒト視運動性反応の空間周波数依存性(ニューロコンピューティングの実装及び人間科学のための解析・モデル化,一般)
- 視覚運動検出と追従眼球運動