自閉症スペクトラム児の心的回転能力(発達障害,視覚障害者支援,福祉情報工学一般)

概要

論文の詳細を見る
自閉症スペクトラム児は社会性,コミュニケーション,それに伴う行動の障がいがあり,相手の立場にたってものごとを考えるなどの,見方を変えて考えることが苦手である場合がある.このような場合,心的回転のような頭の中でイメージを回転させることが苦手であるのではないかと考え,このことについて,独自に開発した「心的回転(二次元版)」,「心的回転(三次元版)」や「航海ゲーム」というゲーム形式のソフトウェアで調べられるのか検証した.そのために自閉症スペクトラム児と定型発達児童にソフトウェアを実施し,回答能力を比較することによって,自閉症スペクトラム児の多面的な見方をする能力と心的回転能力の関係について考察した.いずれのソフトウェアの場合でも高機能自閉症スペクトラム児は定型発達児童と同等の正解率であったが,回答に時間がかかる様子が見られた.このことより,自閉症スペクトラム児は定型発達児童よりも心的回転に時間がかかるのではないかと考えた.また,多動傾向がある児童は十分に心的回転を行うまでに回答することから,正解率が下がる様子が見られた.
2011-05-13