きのこ栽培施設に発生した病原菌類Cladodotryum variumおよびTrichoderma cf.pleurticolaのRAPD解析による菌株識別

概要

論文の詳細を見る
きのこの栽培施設で発生したCladobotryum variumおよびTrichoderma cf.pleuroticolaの菌株について,6種類の10塩基プライマーによるRAPD解析による菌株識別を行ったところ,C.variumのうち福岡県,長野県,埼玉県の栽培施設から分離された菌株の増幅パターンが一致した.また,同様にT.cf.pleuroticola菌株において長野県,熊本県,福岡県,および新潟県のきのこ栽培施設から分離された菌株の増幅パターンが一致した.同一の増幅パターンを示す菌株が分離された栽培施設で栽培されているきのこの種類は異なっていた.同一の施設で異なる年に分離されたC.varium,およびT.cf.pleuroticolaの菌株を解析したところ,どちらの種においても異なる年に分離された菌株間で同一の増幅パターンを示した.このことから,同一菌株が複数年ひとつの施設に定着し,被害を与え続けていることが示唆された.センター方式で栽培されている施設の培養センターならびに子実体発生施設で分離された菌株の増幅パターンが一致した.特に,子実体発生施設における空中落下菌株も同様の増幅パターンを示したことから,子実体発生施設における二次感染の発生の可能性も示唆された.
2010-12-31