配食サービス利用者調査からみた高齢者の地域生活支援の現状と課題
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概要
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高齢化率の上昇や高齢者のみ世帯が増加するなか、「『高齢者が尊厳をもって暮らすこと』を確保することが最も重要」であることを、わが国の高齢者福祉施策の方向を2003 年に出された『2015 年の高齢者介護』(厚生省・高齢者介護研究会報告書)に確認することができる。この報告書では、たとえ「介護が必要となってもその人らしい生活を自分の意思でおくることを可能とする」ことを目指し可能な限り在宅で暮らすことを基本的な方針とする「生活の継続性を重視」したサービス体系を「新しい介護サービスの体系」として構築していくとされている。また現在、この報告書の指摘に沿いながら、介護保険制度によるサービス提供体制やサービスメニューを中心として整備が進められてきているところである。しかしながら、高齢期において在宅で生活し続けるために必要となるであろう「サービスニーズ」は、介護保険制度が提供する身体的な「介護」に収斂されるものではないといえる。高齢期の「生活」を構成する様々な部面から維持・継続が可能となるよう支えていくことが求められるのではないだろうか。本稿では、高齢期にある人びとの地域生活の維持・継続支援の役割を持つサービスの一つとして配食サービスに焦点をあて、そのサービス利用者を対象として実施した生活実態調査(「食と地域生活に関するアンケート調査」)の結果の分析を行い、地域で生活している高齢者の生活支援の現状と課題について整理した。その結果、配食サービス利用者の抱えている生活課題やそのニーズに対して、現行の配食サービスによって提供されている支援内容では充分に対応することができない現状を確認することができた。また、今後検討していかなければならない課題として、(1)誰が、どのように利用者の抱える生活課題や「ニーズ」を把握するのかその方法を検討すること、(2)把握された「ニーズ」を適正な支援、サービスへ結びつけていくためのシステムを構築すること、そして(3)高齢期にある人びとの地域生活を支えるための支援のにない手の確保と養成、があるといえる。
- 2011-03-25
著者
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