仮現運動する対象の大きさ知覚の歪み(マルチモーダル,感性情報処理,視知覚とその応用,一般)

概要

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本研究では、事前・事後的な運動方向が対象の大きさ知覚に及ぼす影響について検討した。参加者は、2フレームで構成された仮現運動が4回繰り返される刺激を観察した。第一フレームでは、1本のバーが誘導刺激として提示された。第二フレームでは、2本のバーがテスト刺激として第一フレームのバーを挟むような位置に提示された。参加者は融合・分離を繰り返す仮現運動を知覚した。第二フレームのテスト刺激と同時に、比較刺激も提示された。参加者は、テスト刺激と比較刺激のどちらが短いかを判断した。階段法により比較刺激の長さを調整し、テスト刺激の主観的等価点を求めた。その結果、誘導刺激の長さがテスト刺激と同じである条件と比べ、誘導刺激の長さがテスト刺激よりも短い条件ではテスト刺激の主観的等価点が有意に低くなった。その一方で、誘導刺激の輝度極性を反転させた場合、及び、誘導刺激をテスト刺激と同時に提示した場合には、テスト刺激の長さに関する主観的等価点の低下は減じられた。結果に基づき、事前・事後的な運動が逆方向になるように提示された場合、事後的な運動方向が対象の大きさの歪みに強く影響することを議論した。
2010-10-07