静止した対象の位置を記憶した際に生じる定位バイアス
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概要
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本研究は, 物体位置知覚の歪みがどのように物体位置記憶の歪みに影響するかについて検討した.目標刺激は視角4.2度もしくは6.3度の位置に50ミリ秒間提示された(それぞれ内側および外側目標刺激).その際, 両目標刺激は画面の中心からの同一放射線上に位置していた.2つの目標刺激提示条件(同時提示条件, 単一提示条件)を用いた.目標刺激の偏心度とプローブ円のエッジの偏心度を比較する知覚定位課題において, 同時提示条件では目標刺激間距離は有意に増大したが, 単一提示条件では増大は観察されなかった.前者の拡張は空間ガンマ運動が原因で生じたと考えられる.記憶課題では, 観察者は両提示条件において目標刺激の位置を覚え, 500ミリ秒間の保持期間の後にビープ音の高低に従って内側もしくは外側の目標刺激の位置を再生した.その結果, 実験1と同様に, 同時提示条件では目標刺激間距離は有意に増大したが, 単一提示条件では増大は観察されなかった.一方で, 単一提示条件では再生位置は有意に中心窩に対して変位していたが, 同時提示条件での外側目標刺激については, 実際の位置と再生された位置の間に有意な差は見られなかった.これらの結果は, 視空間記憶の歪みは, 視空間知覚の歪みも含んでいる可能性を示唆している.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2005-06-30
著者
-
三浦 佳世
九州大学人間環境学研究院
-
三浦 佳世
九州大学大学院人間環境学研究院
-
河邉 隆寛
九州大学
-
山田 祐樹
九州大学人間環境学研究院
-
山田 祐樹
九州大学大学院人間環境学研究院
-
河邉 隆寛
九州大学ユーザーサイエンス機構
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