ピカソによって描かれた肖像画の印象に与える方位成分の効果(マルチモーダル,感性情報処理,一般)

概要

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パブロ・ピカソによって描かれた肖像画の作風は時代と共に大きく変遷した。その作風の変化は心理学的観点からどのように捉えることができるのだろうか。本研究では、肖像画に含まれる特定の方位成分を除去し、それがもたらす印象の変化に基づいて作風の変化を心理学的に説明する試みを行つた。幼少期・青の時代・バラ色の時代・キュビズムの時代・新古典主義の時代・シュルレアリスムの時代・戦後の時代に描かれた肖像画計32枚を刺激として用いた。観察者の課題は、垂直・水平方位成分の除去された絵画と原画とを見比べて、どちらがより原画と似ているか、その類似度を評定することであった(実験1)。その結果、殆どの肖像画において、垂直成分除去絵画は水平成分除去絵画よりも類似していると評定されたが、キュビズムとシュルレアリスムの絵画においては垂直・水平方位成分の除去された絵画間で評定値に差が見られなかった。また、普通の顔画像においては、水平成分除去画像よりも垂直成分除去画像の方が原画像と類似していると評定された(実験2)。本研究の結果は、キュビズム及びシュルレアリスム時代のピカソの肖像画においては、顔の個人認識に必要とされる顔の水平構造が弱化されていることが作風の特徴であることを示唆する。
2009-12-10

ピカソによって描かれた肖像画の印象に与える方位成分の効果(マルチモーダル,感性情報処理,一般)

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