数学的知識とその表現方法についての一考察 : アリストテレスの三段論法を事例として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
数学教育がその指導対象としている知識(数学的知識)の本性を明らかにすることは,数学教育学の根本問題の一つである。筆者は,数学的知識の特性を一つずつ拾い集め,それを精査していくという作業を積み重ねるにことで,数学的知識の本性の理解に近づいて行きたいと考えている。本稿では,知識内容とその表現方法の関係に焦点を当てることで,数学的知識の重要な特性として,以下の2点を指摘した。(ア)知識内容とその表現方法は不可分の関係にあり,表現の変更は不可避的に知識内容の変容を伴う。したがって,表現方法の置き換えによる指導教材の平易化は,いつでも行えるわけではない。(イ)表現方法の変更が新たな思考対象の生成と数学的知識の発展を促す。この特性は,数学学習の系統性,階層性に反映されることになるので,数学教育の観点からも重要となる特性である。
- 2008-09-30
著者
関連論文
- C15 数学学習における「表象」の研究X : 数学的知識の本性に関する認識論的考察(C.【問題解決(数学的考え方・活動等)】,論文発表の部)
- L4 数学学習における「表象」の研究XI : 数学理解のための概念メタファーについて(L.【数学学習・指導における心理学的研究】,論文発表の部)
- 数学的知識とその表現方法についての一考察 : アリストテレスの三段論法を事例として
- B19 数学学習における「表象」の研究 VIII : アナロジーのレベル同定に関する一考察(B.【問題解決】,論文発表の部,第II編 第38回数学教育論文発表会発表論文要約)
- B19 数学学習における「表象」の研究VIII : アナロジーのレベル同定に関する一考察(B.【問題解決】,論文発表の部)
- F3 数学学習における「表象」の研究IX : 数学理解におけるアナロジーの機能(F.【言語とコミュニケーション】,論文発表の部)
- アナロジー思考の発達,アナロジーと論理的推論との関連について(図形・論証研究部会,課題別研究部会)
- 数学教育におけるアナロジーの研究(1) : 数学の理解に果たすアナロジーの機能
- わかる授業とは何か : 授業研究をふまえて(ディベートフォーラム)
- 数学教育における理解と表象の研究 (III) : 「逆数」問題に現れる記号操作のパターンとその解釈
- A16 数学学習における「表象」の研究(IV) : 記号操作に及ぼす概念構造の役割(A.理解・認知・思考分科会)
- 数学教育におけるアナロジーの研究(2) : 概念メタファーによる数学学習の分析
- 問題解決:研究領域のマトリックス(WG2【問題解決】,「課題別分科会」発表集録 今後の我が国の数学教育研究)
- A Study of Mental Representations in Mathematics Learning (VII) : Problem Solving by Analogy
- 数学学習における「表象」の研究(VI) : 数学の学習指導におけるアナロジの不可避性(7.認知/指導モデル,論文発表の部)
- A6 数学学習における「表象」の研究(V) : アナロジーの構造,概念の具象化,ソースとターゲット(A.理解・認知・思考分科会)
- 数学的問題解決における「理解」の認知的研究(III) : アナロジーの構造分析
- A19 数学学習における「表象」の研究III : マッチング・ルールの修正(A 理解・認知・思考 分科会)
- 数学的問題解決における理解の認知的研究 : 文章問題の理解と「表象」