沿岸親潮における動物プランクトン群集の特徴(シンポジウム:沿岸親潮)
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概要
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北海道南東岸における沿岸親潮の動物プランクトン群集の特徴を明らかにするために,季節的,鉛直的および水平的なネット採集試料の解析を行った.沿岸親潮の流入は2月〜4月に見られ,これは当海域のバイオマスピーク(6月)の前であった.沿岸親潮と親潮接岸分枝ともに最優占分類群はかいあし類で,沿岸親潮中では小型冷水性かいあし類のPseudocalanus newmaniやAcartia longiremisが優占していた.水平的に動物プランクトン個体数とバイオマスはともに水温と正の相関があり,低水温の沿岸親潮中では低かった.これはバイオマスを左右する大型かいあし類の発育段階組成が沿岸親潮では休眠中の後期発育段階のみであったためであった.沿岸親潮の動物プランクトン群集のバイオマスが親潮接岸分枝よりも低い要因として,小型かいあし類が優占することや低温な環境下で成長が遅いこと,および珪藻類ブルームによるかいあし類の再生産効率の低下が影響していると考えられる.
- 日本海洋学会の論文
- 2003-08-26
著者
-
山口 篤
北海道大学大学院水産科学研究院海洋生物学分野
-
志賀 直信
北海道大学
-
山口 篤
北海道大学大学院水産科学研究院海洋生物学分野浮遊生物学領域
-
山口 篤
北海道大学大学院 水産科学研究科 多様性生物学講座
-
三輪 喜之
北海道大学大学院水産科学研究科
-
井上 勝夫
北海道大学大学院水産科学研究科
-
志賀 直信
北海道大学大学院水産科学研究院海洋生物学分野浮遊生物学領域
-
山口 篤
北海道大学大学院水産科学研究院
-
松本 稔範
北海道大学大学院水産科学研究科
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