北太平洋の中・深層域に分布するプランクトン生物の生態学的研究(2006年度日本海洋学会岡田賞受賞記念論文)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
西部北太平洋の亜寒帯域から亜熱帯域におよぶ4定点において,水深5,800mにまでおよぶ全プランクトン分類群のバイオマスを明らかにした。深度増加に伴うバイオマスの減衰度合いは分類群によって異なり,この差は各分類群の栄養生態に起因するものと考えられた。亜寒帯域では多細胞動物プランクトンの占有率が高く,亜熱帯域では従属栄養バクテリアと単細胞動物プランクトンの占有率が高かった。亜寒帯域における主要分類群であるカイアシ類の生態学的特徴を調査研究して,同属の種間で鉛直分布を変えて棲み分けしていることや,多くの中・深層性カイアシ類が若い発育段階では深い層に分布し,発育に伴う鉛直移動をすることを明らかにした。また中・深層性種の生活史の再生産時期は表層で植物プランクトンブルームのある時期に同調しており,これは表層からの沈降粒子輸送量の増加に関係したものと考えられた。西部北太平洋亜寒帯域の全水柱を通して,カイアシ類は有機炭素輸送量の32%を消費すると推定された。
- 2007-03-05
著者
-
山口 篤
北海道大学大学院水産科学研究院海洋生物学分野
-
山口 篤
北海道大学大学院水産科学研究院海洋生物学分野浮遊生物学領域
-
山口 篤
北海道大学大学院 水産科学研究科 多様性生物学講座
-
山口 篤
北海道大学大学院水産科学研究院
関連論文
- 北太平洋の中・深層域に分布するプランクトン生物の生態学的研究(2006年度日本海洋学会岡田賞受賞記念論文)
- 冬季の日本海南部における中層性かいあし類 Gaetanus variabilis の鉛直分布、腸内容物および餌要求量
- 北海道忍路湾におけるネット植物プランクトン群集の長期変動(1984-2004年)
- 光学式プランクトンカウンター (Optical Plankton Counter) を用いた初夏の西部北太平洋における動物プランクトン群集構造の緯度・経年変動解析
- 北太平洋亜寒帯域のカラヌス目カイアシ類に体表付着する繊毛虫吸管虫亜綱について
- 中・深層性かいあし類をめぐる被食・捕食関係 (2003年度春季プランクトンシンポジウム 淡水と海洋のプランクトン研究の比較:捕食者-被食者関係に注目して)
- 深海生物群集--生物量と食物網 (総特集 生物海洋学研究)
- III-5. 中深層プランクトンへの影響(III. 生物への影響)(二酸化炭素の海洋隔離技術と生物への影響)
- 中層プランクトンへのC02の影響 (総特集 CO2海洋隔離--隔離技術と生物影響について)
- 西部北太平洋におけるプランクトン群集の鉛直分布(WEST-COSMIC)
- 北太平洋亜寒帯域における魚類・イカ類の餌としての動物プランクトンの資源変動 (地球規模海洋生態系変動研究(GLOBEC)--海洋生態系の総合診断と将来予測)
- 動物プランクトンに共生する繊毛虫類の生活史と生態的機能 (2010年度日本プランクトン学会春季シンポジウム(2010年度日本海洋学会春季大会シンポジウムG) 原生生物の多様性と生態的機能)
- 潜水無人探査機ビデオ撮影による日本海後志海山におけるヤムシ類の微細分布の観察
- 海洋化学・生物調査技術
- 粉末冶金法により製造された超磁わい材料の強度特性
- 429 超磁歪材料における磁歪特性の負荷履歴依存性
- 動物プランクトンに共生する繊毛虫類の生活史と生態的機能
- 沿岸親潮における動物プランクトン群集の特徴(シンポジウム:沿岸親潮)
- 北海道南西部恵山沖におけるPseudocalanus minutus と P. newmani (Copepoda; Calanoida) の鉛直分布および生活史
- セジメントトラップにより採集された初夏の西部北太平洋亜寒帯域におけるプランクトン群集の短期時系列変動
- 日本近海における小型冷水性カラノイダ橈脚類数種の生活史に関する研究
- 日本東方海域における浮遊性ヤムシ類の動物相と分布生態に関するレビュー (ヤムシ研究会ワークショップ論文集)
- ヤムシ研究会ワークショップ論文集
- 中・深層性かいあし類をめぐる被食・捕食関係